eye:放たれる熱気 存続決定「ばんえい競馬」 1/25 東京夕刊 

 空にまだ星が瞬く帯広競馬場で、ばんえい競馬の調教師たちはばん馬の調教を始める。約600頭の馬の調教は怒鳴り声に近いかけ声が飛び交う真剣勝負そのもの。
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/archive/news/2007/01/25/20070125dde012040053000c.html

 氷点下10度を下回る未明の競馬場では、ばん馬の汗が蒸気となり立ちこめる。調教が進むにつれて蒸気の勢いが増し、競馬場を照らすライトで一面真っ白になる。オレンジ色の朝日が顔を出すと、立ちこめる蒸気がさらに際立つ。調教が終わると、白く凍った土に鉄そりの軌跡が残った。
 ばんえい競馬はサラブレッドの2倍の1トンにもなる重種馬が最大1トンの鉄そりを引き、2カ所の坂の障害がある全長200メートルの直線コースで競う。レースは人が歩く程度の速度。しかし、約10メートルの至近距離で見られるため、馬の息づかいと筋肉の動きの迫力が間近に感じられる。
 世界でただ一つのばんえい競馬は昨年、いったん廃止が決まったが、一転してソフトバンク系の関連会社の支援を受け、延命した。来年度は帯広市で単独開催される。
 現役最年長の騎手、坂本東一さん(53)は「体力の限界までやる。ダメだと思った時が引退だ」と意気軒高。リーディングジョッキーに02年度から3年連続で輝き、06年6月に史上2人目の2500勝を達成した。今年度も首位を走る。
 存続の署名活動に奔走した関係者は今後を決して楽観していない。起死回生を図るには地域が一体となって新しいファン層を開拓する努力と工夫が欠かせない。<写真・尾籠章裕/文・仲田力行>

 ◇ルーツは「お祭りばんば」
 ばんえい競馬はサラブレッドなどの軽種馬よりも重いペルシュロンやブルトンなど欧州原産種の重種馬が活躍する。農作業などの動力として不可欠だった農耕馬に地域での「お祭りばんば」で力自慢をさせて楽しんだのがルーツとされ、現在でも北海道内や東北地方で草ばんばが開かれている。
 1946年に公営化され、53年には旭川、帯広、北見、岩見沢の4市がそれぞれ市営競馬を主催。89年に4市で北海道市営競馬組合を設立した。91年度の約322億円をピークに売り上げは減少。99年度から赤字となり今年度末で累積赤字が約40億円に達する見通しとなった。昨年、帯広を除く3市が撤退を表明し、廃止が濃厚となっていた。 ファンや騎手、馬の生産者ら競馬関係者の存続を求める動きが活発化した昨年12月、ソフトバンク系関連会社「ソフトバンク・プレイヤーズ」が支援に名乗りをあげ、来年度以降の帯広市単独開催が決まった。<編集・レイアウト 松田哲夫>
毎日新聞 2007年1月25日 東京夕刊

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